傑作「Yeezus」でエグゼクティブ・プロデューサーを務めたRick Rubinが、Kanyeから求められた仕事が引き算のディレクションであったことを明かす・・・「彼が私に求めたのは余計なものを取り除く作業だった」
2013/06/19 21:49
「Kanyeに頼まれたのは最終調整だ。
最後の3週間で、アルバムの仕上げを一緒にやって欲しいと声を掛けてきたんだ。
まず持ち込まれた3時間分の音源を一通り聞いた。
とてもいいものだったけど、詰め切ったという状態には全くなっていなかった。
ボーカルが入ってない箇所も結構あったし、リリックの用意さえしてない曲まであったくらいだから。
一聴した段階では、3週間どころか何か月か時間が要ると感じた。
だけど、ここに広げたものをこれから仕上げていくのでその手助けをして欲しいと言われてね。
引き受けることにしたんだ。
・・・彼が私に求めたのは、余計なものを取り除く作業だった。
引き算のディレクションだ。
例えば、"Bound 2"で言えば、最初に彼に聞かせてもらった段階では、アダルト・コンテンポラリーな雰囲気のある普通のR&Bだった。
Kanyeはこのサウンドに、更に自分の気に入っているサンプル(Ponderosa Twins Plus Oneの"Bound")を足したいと言ってきたんだ。
でも私はパンクのエッジを前に出そうと考え、R&Bの要素をことごとく削っていって、フックではベースラインだけを残すことにしたんだ。
そういう作業だ。
・・・2日後に音源をレーベルに提出しないといけないという段階でも、まだ我々はスタジオに居た。
日曜日で、Kanyeはその夜にはミラノに向かって発つことになっていた。
その時点でボーカルの入ってない曲が5曲、リリックがない曲も2,3曲あった。
でも彼は
『大丈夫。
(バスケで言えば)第4クォーターで40点取ればいいんだから』
と強気でね。
そして、最後の2時間で本当に全てを完成させたんだ。
全てのリリックを書き上げ、楽しそうな様子を見せながらボーカル入れもやった。
あれは本当に凄かったな。
切羽詰まった状況だったけど、彼は余裕を持って仕事を終えた。
絶対に時間内に仕上げられるという、強い自信を持っていたんだね」