Jay-Zのレコーディング・エンジニアYoung Guruが2006年にリリースしたJayのカムバックアルバム「Kingdom Come」の評価が他の作品に比べて低い理由を解説
2012/03/13 15:25
Young Guruによると、Jayは06年当時、飲料、料理、衛生用などに使用できる清潔な水の不足を訴える「Water for Life」キャンペーンで2ヶ月間の世界ツアーに出ていたが、Def Jamの経営状況を危惧するL.A. Reidの強い要請で急きょツアー中にアルバムを制作する状況になった模様
「当時(のDef Jam)は、すべてはJay-Zのアルバムに掛かっているという状況だった。
でもJayはその時、Water for Lifeの世界ツアーでアフリカに居た。
そういう状況でL.A. Reidが
『年末までにJay-Zにアルバムを出してもらいたい』
と言ってきたんだ。
オレは
『今はレコーディングができる状態ではありません。
使えそうなトラックは何曲かあるんですが、Jayはアフリカに居ますし』
と答えた。
でも
『もしアルバムを年末までに出せなければ、人を切らないといけない。
支払いができない状態なんだ。
何とか年内に出してもらいたい』
と食い下がられた。
『そうは言っても彼は今アフリカに居るし、何とか延ばせませんか?』
と頼んだけど
『じゃあ、今すぐ飛行機に乗ってくれ』
と言われたんだ。
結局オレはJayと台湾の台北で会うことになった。
でもそこではレコーディングはできず、スタジオに入ったのはオーストラリアに移動してからだ。
でも、6~10万人を収容するサッカースタジアムとかアリーナクラスを使用する大掛かりなワールドツアー中なんだ。
7万人の観客を相手にパフォーマンスをして、その後にスタジオに入っても声は普通の状態じゃない。
海外に居るんだし、気持ちの切り替えも難しい。
構成を覚え、2時間のショーをやるだけでも大変なのに、すぐにクリエイティブなモードにも入らないといけない。
その状態でできたのが『Kingdom Come』だったんだ」